Project Storyプロジェクトストーリー

水上設置型
メガソーラーに挑む

Project Memberプロジェクトメンバー

東 :2012年7月1日よりスタートした「再生可能エネルギー固定価格買取制度」導入の影響で、全国的に多くの企業や個人の方々が太陽光発電ビジネスに踏み出しました。その結果、年々太陽光の設置場所が減少し、山を伐採しては平地をつくるという措置を行うものの、コストがかかりすぎるなどの問題が生じ、設置場所の確保に多くの企業が頭を悩ませていました。

山田:そんな中、私たちが目をつけたのは、ため池を利用した水上設置型メガソーラー。実は美樹工業が位置する兵庫県は、全国にあるため池約19万箇所のうち、約2割を所持しています。さらに、瀬戸内海は雨が少ないということ、水上だと地上メガソーラーに比べて「温度上昇による発電効率低下抑止」というメリットがあることもあり、「さまざまなメリットが期待できる、ため池を使わない手はない!」と思い、着手するに至りました。

土地開拓から、着工まで。
並々ならぬ努力と苦悩の連続。

橋元:まず、私たちが行ったのは、そもそもの池の構造を調査すること。あらかじめ、フランスの水上フロート式架台メーカーの「シエル・テール・ジャパン」社と施工方法の確認や工事の検討などを行い、「水上メガソーラーに適したため池探し」から始まりました。

大伴:私は当初新卒でプロジェクトメンバーになり、上司からの初めての指示が「池を調べろ!」だったんです(笑)。何がなんだかわからないまま、それでも急いで兵庫にあるため池をリストアップしていきました。そして、それが終わると今度は「池に行って来い!」って(笑)。要は、ため池にメガソーラーを設置するとなると、整備をして漏水などのトラブルを防がないといけないんですね。いざ整備をする際、どこから工事車両が入るのか、次に、地上に置く「パワコンキュービクル」という機器をどこに設置するのか、などをすべて想定しておかければならないんです。

山田:そうそう。それに加えて、たくさんパネルを置ける「大きな池であること」、「池の近くまで電柱がきていること」「送電線に空きがあること」などは絶対条件。送電線の空き状況なんて、電力会社へ問い合わせて池の所有者が誰なのかの確認をした後、市役所に相談…ととにかく複雑で、気の遠くなるような工程だったね。そうしてようやく苦労して見つけてきた土地にも関わらず、最後に土地所有者に「ノー」と言われて、計画が白紙になってしまうこともあったね。結局、現在美樹工業が手がけている水上メガソーラーは7箇所。その7箇所を見つけるために100箇所以上の池は回ったんじゃないかな。

東 :次に取り掛かったのが「水上用パネル」。これは、パネルをつくる会社(シャープ)に一から水上用パネルを作ってもらわないといけなかったので、水上メガソーラーの必要性を根気強く訴えて、やっとの思いで説得。交渉からパネル製作まで約1年かかった。土地を探すところから、施工方法、現場検証、資材の調達など工事着手するまでに本当に莫大な時間を費やしたね。

大伴:すべての条件がそろって、実際に工事が始まってからも前途多難でしたね。なにしろ皆初めてのことばかり。今まで事例のなかったことなので当たり前かも知れませんが、きちんと設計図と照らし合わせて施工の段取りを踏んでも、やってみて初めて明らかになる「見えない危険」もありました。それを一つひとつ解決して前に進んでいかなければいけないのですが、私たちには「いつまでに完成させないといけない」というデッドラインがいつも待ち受けていて、プレッシャーに押しつぶされそうだった。

水上メガソーラー、遂に完成。
そして芽生えた「新たな想い」。

東 :長い年月と労力をかけて作られた美樹工業初の水上メガソーラーが完成したときは、本当に嬉しかった。1つ目は難易度で言うと一番難しい。それが今では手がけた現場は7箇所にもなり、メディアにも取り上げられたりして新規のお客様から問い合わせがあるまでに。美樹工業のように一つの会社で調査から工事まで一貫してやっているのはウチの強みなのかもしれない。

大伴:ほかにも、美樹工業が作る水上メガソーラーは、この先何らかの理由でため池の水を抜かないといけなくなっても、メンテナンスができるように設計されているんですよね。パネル数を増やして発電量を高めることもできますが、それだと水質が悪化したり、酸素濃度が少なくなってしまいます。それを防ぎ、ため池の本来の機能を損なわないようにという設計者の配慮が設計図の細部に行き届いていますよね。

橋元:再生可能エネルギーを取り巻く社会状況は、刻一刻と進化し続けると思います。今回のこのプロジェクトを通して、私たちはあらためて、どんなことにも臆せず挑戦することの大切さを感じました。マニュアルも何もないゼロからのスタート。思い返せば大変だったことのほうが多いのかもしれません。しかし、これからも建設会社だからこそ持つ美樹工業の強みを活かして、新しいことにもどんどん挑戦していきたいと思いました。